不整脈グループ

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1.心房細動の機序の解明と至適な治療法の確立

心房細動は、これまでその機序が十分には解明されておらず、カテーテルアブレーションによる治療法も、施設間で異なっており、機序に基づいた有効な治療法の確立が必要と考えられる。心房細動は主に肺静脈を起源とする異常興奮により引き起こされることが報告され、肺静脈の隔離術が発作性心房細動に対しては有効であることが示されている。肺静脈での異常な興奮がいわゆる動物実験で示されたようなRotorが存在して生じているかは不明である。我々は心房細動の発症の基となる肺静脈内の興奮伝播がどのような機序によるのかをNon-contact mappingで解析を行なっている。また心房細動は発作を繰り返すことにより心房筋のリモデリングを来たし持続性へと移行していくことが示されているおり、持続性心房細動では、肺静脈隔離術のみの治療では不十分であることが示されている。これは持続性心房細動において発作性心房細動とは異なる持続因子が加わって存在していることを示唆するが、どのような機序であるかは十分には解明されていない。また、持続性心房細動に対するカテーテルアブレーションのエンドポイントをどのように設定すべきかも議論の分かれるところである。肺静脈隔離後も持続する持続性心房細動の機序を解明するために心房内の興奮伝播を解析し、肺静脈以外のどのような因子が関連しているかについて検討を行なっている。近年、肺静脈以外の心房内にもRotorが存在し、これに対する高周波通電が有効であるとの報告がなされているが、これらRotorの存在の有無と細動持続に対する関与がどのようになっているかについても詳細な3次元マッピングを行い検討を行なっている。また、カテーテルアブレーションによる心房細動停止をエンドポイントとするStepwise Approachの有効性については意見が分かれているが、我々は心房内マッピングを行い、どのようなアプローチガ心房細動停止に有効であるかについても検討を行なっている。

2.心房細動に関連する因子の検討

近年、Pericardial Fatが心疾患と関連していることが報告されているが、我々は心房細動発症においてもPericardial Fatが発症のメカニズムに関連がしていることを報告した。これらのPericardial Fat がどのような機序で心房細動を発症しているのかについても更なる検討を行なっている。また、心房細動と内皮機能には密接な関連があることが報告されている。我々も心房細動の持続により内皮機能が低下し、かつカテーテルアブレーションにより洞調律に復することにより、心房細動により低下した内皮機能が改善することを報告した。さらに内皮機能が、心房細動アブレーション後の予測因子となるうることも明らかにした。今後も内皮機能と心房細動の関連について更なる検討を行っていく予定である。

3.心房細動アブレーションにより引き起こされる食道潰瘍の予測因子と予防に関する検討

心房細動に対する治療の基本は両側肺静脈隔離であるが、左心房の後方には食道が接して走行しており、通電により食道に傷害を引き起こす可能性が指摘されている。これにより食道左房瘻が引き起こされ重篤な場合死亡に至る症例も報告されている。しかし現在のところ食道損傷を予測する正確な因子は明らかにされていない。現在我々は心房細動アブレーション後に全例で上部消化管内視鏡を行い食道損傷がないかを調べており、食道傷害を予測しえる因子についての検討を行なっている。

4.房室弁輪部起源の心房頻拍についての検討

房室弁輪部にはHis束近傍のものを含めて、チャネル感受性の心房頻拍が存在することが報告されているがその詳細なメカニズムは明らかにされていなかった。我々はEntrainment法を用いてこれらの頻拍の機序がリエントリーであり、心房最早期興奮部位の近位部にCaチャネル依存性の必須暖徐伝導路が存在していることを初めて明らかにした。また房室結節近傍起源の心房頻拍において、従来は最早期心房興奮部位が治療の標的部位とされていたが、最早期心房興奮部位は極めて房室結節に近接しており、房室結節に対する傷害を来たすリスクを伴っていた。しかしEntrainment法を用いることにより、必須暖徐伝導路の入口部への通電が可能となり、安全に頻拍の根治が可能であることを示した。これらのCaチャネル感受性を有する房室弁輪部起源心房頻拍の詳細な頻拍回路について、今後も更なる検討を行なう。

5.T-TAS(Total thrombus-formation analysis system)を用いた心房細動症例での抗凝固薬の判定結果

これまで心房細動症例での新規経口抗凝固薬の適切な効果判定法は確立されていなかったが、我々はT-TASを用いることによりアブレーション周術期の新規経口抗凝固薬の効果判定ならびに出血イベントの予測が行なえることを示した。また、T-TASの経時的変化が心房細動の再発にも関連している可能性が考えられ、今後検討を行なっていく予定である

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