心不全・肺高血圧グループ

心不全・肺高血圧グループ

1) 心不全患者における血清neprilysin値の検討

心保護作用を持つナトリウム利尿ペプチドの分解を防ぐneprilysin(NEP)阻害薬が心不全の予後を劇的に改善することが2014年に報告されました。しかしながらこれまで心不全患者において①血中NEP濃度に影響を与える因子 ②血中NEP濃度と予後との相関 ③経時的なNEP濃度の推移 ④心臓から放出されるNEPと血行動態の関係については十分には明らかにされていません。私たちのグループは慢性および急性心不全症例において血清NEP濃度と関連する臨床的特徴、予後に与える影響および血清NEP濃度上昇と血行動態の関係を検討しています。本研究により得られた結果から心不全患者における血清NEP 濃度測定の意義を明らかにし、将来NEP阻害薬が使用可能となった際に、NEP阻害薬のレスポンダーを選択する指標となりうることか、さらに検討したいと考えています。

2) 心筋症における冠微小循環障害と心筋繊維化

心筋症において冠微小循環障害や心筋繊維化は病態の進行や心不全増悪に関連しています。我々は心筋症患者を対象にしてアセチルコリン負荷試験やcoronary flow reserveにより冠微小循環や心臓MRIによる造影遅延像(Late gadolinium enhancement, LGE)から心筋繊維化を評価し、冠微小循環障害および心筋繊維化が心筋障害マーカーである心筋トロポニンTの心臓からの放出やBNP値上昇と相関することを報告しています(Takashio et al. J Am Coll Cardiol 2013, Hirakawa et al. Int J Cardiol.2016)。また、アセチルコリン負荷による冠攣縮誘発試験で非スパスム症例においても微小循環障害に伴う心筋からの乳酸産生が起こる傾向があり、特にLGEの大きさはアセチルコリン負荷後の乳酸産生と関連があることを報告しています(Uemura et al. Heart Vessels 2016)。さらに解析を進め、冠微小循環障害と心筋症の病態進行や予後、治療介入による改善効果を明らかにしたいと考えています。

3) 心アミロイドーシスの効率的な診断法の確立および予後評価について

心アミロイドーシスはアミロイド蛋白が心臓に沈着することによって生じる心筋症であり、心不全や伝導障害、突然死に関わる疾患です。近年、心機能が保たれた心不全患者の少なくない割合で心アミロイドーシスが隠れている可能性が指摘されています。また、アミロイドーシスに対する治療が日進月歩で進んでいる事から、近年その早期診断の重要性が強調されています。しかしながら心アミロイドーシスの診断は心電図や心エコー検査のみでは診断が難しく、心臓MRI検査や核医学検査といった画像診断や、心筋から病理学的にアミロイド蛋白の沈着を証明、およびアミロイド蛋白の種類を同定する必要があります。 心アミロイドーシスを効率的かつ侵襲を少なく診断するためには効率的なスクリーニング検査と信頼性の高い画像診断および心筋生検以外の組織診断による心アミロイドーシス診断法を確立することが必要です。我々は心筋トロポニンTなどの心筋障害マーカーや画像診断、腹壁皮下脂肪生検を組み合わせた心アミロイドーシスの診断法の検討を行っています(図)。 また熊本では家族性アミロイドーシスの集積地であり、神経内科と協力して数多くの患者様の診療を行っています。末梢神経症状を主徴候とすることが多いのですが、進行すると心症状を呈することがあります。我々は家族性アミロイドーシスの心症状の出現状況や症状発現の予測因子や予後について検討を行っています。

takashio

4) 左心疾患に伴う肺高血圧における血管内皮機能障害の影響の検討

左心不全に伴う肺高血圧症例では左房圧上昇が肺動脈へ受動的に伝搬することによる肺動脈楔入圧に加えて、肺動脈の収縮およびリモデリングに伴う肺動脈圧上昇を伴った病態であり、その予後は不良です。肺高血圧の進行において血管内皮機能障害の存在が注目されており、我々は血管内皮機能障害が左心疾患に伴う肺高血圧において与える影響を検討しています。

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