ACROSS-AMI

急性心筋梗塞後患者における長時間作用型カルシウム拮抗薬の有効性に関する前向き無作為臨床試験

ACROSS-AMI  (ACh-induced CoROnary Spasm Study – Nifedipine and Benidipine After Acute Myocardial Infarction)

1.試験の背景

冠攣縮性狭心症の生命予後は一般的に良いとされているが、冠動脈の器質的狭窄に合併した場合や病態が不安定な場合、突然死を引き起こすこともある。欧米のCASPAR試験において、急性冠症候群(ACS)患者のうち責任冠動脈病変を有さない病態に冠攣縮が関与することが報告されている(J Am Coll Cardiol 2011;57:147-52)。冠攣縮の発生頻度には人種差があることが知られており、急性心筋梗塞(AMI)における日本人のACh負荷試験による冠攣縮発生頻度は欧米人の3倍高いと報告されている(Circulation 2000;101:1102-8)。心筋梗塞後の長期予後に及ぼすカルシウム拮抗薬(CCB)の有効性は、JBCMI試験や、JMIC-B試験等で報告されており、本邦の冠攣縮性狭心症の診断治療ガイドラインでも、冠攣縮の薬物治療としてCCBを薬物療法のクラスIとして推奨している。しかし、すべてのCCBが冠攣縮に対し同様の効果を持つわけではなく、最近のレトロスペクティブ調査では、CCB間で予後効果に差異があることが指摘されており(Circ J 2010;74:1943-50)、無作為介入臨床試験による効果の確認が必要とされている。

2.試験の目的

心筋梗塞後のCCBの有効性を、冠攣縮(冠血管緊張度)抑制効果および冠動脈内皮機能に及ぼす影響の面から検討する。

3.対象患者

ST上昇型心筋梗塞(STEMI),非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)に対しprimary PCI(DES/BMS留置)を施行した患者で、その後の症状が安定し、以下の適格基準を全て満たし、かつ以下の除外基準のいずれにも抵触しない患者。目標症例数、目標症例 160例。

《適格基準》1)入院約2週間前後にACh負荷試験を施行し、急性期治療後(退院時)に残存病変を有しない、2)原則として同意取得時の年齢が20歳以上85歳未満の男女、3)患者本人よる同意が文書で得られた例

《除外基準》1)症状が安定していない患者(不安定狭心症)2)3枝病変の患者、3)EF<40%の左室収縮機能不全患者、4)慢性心房細動のある患者、5)重篤な肝障害を有する患者、6)ジヒドロピリジン系CCBへの忍容性不適合患者、7)過去にDESが留置されている患者、8)主治医が研究参加に不適切と判断した患者

4.試験の方法

(1)試験デザイン:多施設共同、実薬対照、ランダム化、非盲検、前向き並行群間比較試験

across1

(2)試験のアウトライン

AMI急性期を脱し、本試験に対する同意の得られた対象患者に対し、ACh負荷試験を施行する。

ACh負荷試験陽性の場合は試験1へ、陰性の場合は試験2へ組み入れる。

ACROSS-AMI事務局に設置されている条件付き割付システムを用いて、登録と割付を行う。

 

試験1(ACh負荷試験陽性例)

across2

試験2(ACh負荷試験陰性例)

across3

(3)試験薬の用法・用量、投与期間

 標準治療薬に加え、ニフェジピン群は1日1回20-40mgを就寝前投与、ベニジピン群は1日1回4mg

2回朝・夕投与する。標準治療薬は割付後からフォローアップの心臓カテーテル検査まで継続投与するが、CCBはフォローアップ心臓カテーテル検査の36~48時間前に休薬する(可能であれば検査2日前から休薬する)。

(4)症例登録、割付方法

  1. 試験分担医師は、対象患者の同意取得後、ACROSS-AMI事務局(電話番号:096-373-5175)に下記事項を電話連絡する。

A)登録する試験:試験1 or 試験2、 B)患者情報(院内ID、生年月日、性別)、 C)割付因子:①STEMI or NSTEMI、②LADに対するステント留置の有無、③LADに留置したステントの種類(DES or BMS)、④喫煙の有無、⑤Peak CKMB or CPK(Cut off 1500)、⑥硝酸薬、ニコランジル使用の有無

2)事務局は該当する試験の割付システムに患者情報および割付因子を入力し、割付結果を試験

分担医師に伝える。また、割付結果およびスケジュールを記載した経過観察スケジュールを

FAXまたはEメール送信する。

5.評価項目

主要評価項目(Primary endpoint):治療6-9ヶ月後の確認造影時のACh誘発性冠動脈収縮反応の変化率及び冠血管緊張度

(定量的冠動脈解析:Quantitative CoronaryArteriography : QCA)

副次的評価項目(Secondary endpoint):

  1. 再ACh負荷試験の冠攣縮発生率
  2. バイオマーカーの変動
  3. 心臓超音波による左室収縮・拡張能
  4. 心血管イベント(心血管死、非致死性心筋梗塞、不安定狭心症、心不全による

    再入院、再血行再建術、等)

  5. 有害事象
  6. OCTを用いた冠動脈病変所見(実施可能な施設のみ)

    6.観察および検査項目

  1. 試験登録時に、性別、生年月日、身長、体重、病歴、既往歴(高血圧、糖尿病、脂質異常症、狭心症、BMI≧25の肥満)、家族歴(高血圧、糖尿病、脂質異常症、狭心症)、生活歴(喫煙、アルコール)、血圧、脈拍を記録する。
  2. 入院中から試験終了までに投与された薬剤について、薬剤名、投与量・投与方法、投与期間、投与理由を調査する。
  3. 試験登録後から試験終了までの服薬状況を調査する。
  4. 有効性の観察・検査項目

    1. 冠動脈機能評価:試験登録時(急性期)および9±3ヶ月後(慢性期)に実施する。詳細な手順は、ACRoss-AMI study ACh負荷試験、QCA手順書を参照。
    2. バイオマーカー(外注検査項目):IL-6、TNF-α、MCP-1、hs-CRP、d-ROMを試験登録時(急性期ACh負荷試験前)、3ヶ月後、9±3ヶ月後(慢性期ACh負荷試験前)の3回測定する。
  5. 安全性の観察・検査項目 試験登録時(急性期ACh負荷試験前)、3ヶ月後、9±3ヶ月後(慢性期ACh負荷試験前)の3回、以下を測定する。

    ●血液学的検査:白血球数、赤血球数、ヘモグロビン、血小板数

    ●血液生化学検査:AST、ALT、γ-GTP、血清クレアチニン、BUN、HbA1c、空腹時血糖、

    総コレステロール、中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロール

  6. 有害事象

    試験期間中に有害事象が発生した際は、薬剤との因果関係の有無にかかわらず記録する。

7.試験実施期間

大学院生命科学研究部長承認の日~2016年12月31日(登録締切2015年12月31日)

8.データの集計および統計解析方法

(1)解析対象集団

主要評価項目及び副次的評価項目の解析はPPSを対象とした解析を実施する。

(2)解析項目・方法

治療前後の冠動脈内皮機能をQCAによって計測し、群間の差異をANOVAおよびStudent t testにより解析・評価する。また、各種バイオマーカーの群内および群間の差異をANOVAおよびStudent t testにより解析・評価する。

9.研究組織

<研究代表者> 小川 久雄 

<実施施設・試験責任医師>

実施施設名

責任医師名

職名

熊本大学医学部附属病院

循環器内科

海北 幸一

講師

済生会熊本病院

循環器内科

坂本 知浩

副部長

横浜市立大学

市民総合医療センター

心臓血管センター

木村 一雄

教授(部長)

愛媛県立新居浜病院

内科(循環器)

末田 章三

副院長

国立循環器病研究センター

心臓血管内科部門

安田 聡

心臓血管内科 

部門長

日本医科大学

千葉北総病院

循環器内科

清野 精彦

部長

昭和大学藤が丘病院

循環器内科

鈴木 洋

診療科長

(教授)

広島鉄道病院                                  

循環器内科

寺川 宏樹

部長

心臓血管研究所付属病院

循環器内科

及川 裕二

冠動脈疾患

担当部長

 

<統計解析責任者> 松井 邦彦           熊本大学医学部附属病院 地域医療システム学寄附講座

 

<研究事務局/運営事務局>

熊本大学大学院生命科学研究部循環器内科学 医局

海北幸一(研究事務局代表)、酒井弥生(研究補助員)

 

 

 

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